STORIES
STORY 01
従来、建設工事の段階確認や完了時検査は発注者の監督職員が現場まで移動し、立会のもと実施することとされていました。
担い手不足の顕在化や労働環境の改善への対応として、またコロナ禍による非接触・リモート化の需要の高まりに伴い、現場への移動・立会を伴わない「遠隔臨場」による確認・検査の試行が2020年度から始まりました。
現場ニーズの高まりを背景に、共同開発先である株式会社中山組からアドバイスをいただきながら、検査側と現場側のコミュニケーションをストレスなく円滑に行えるよう開発時より徹底的にシミュレーションを行い、初めて手に取る人でも不自由なく使えるツールの実現を目指しました。
また検査時のストレス低減と担保すべき検査精度を両立させるため、最適なソリューションの在り方を模索した結果、 ハンディタイプのカメラシステムの採用に至り、遠隔臨場システム「Gリポート」として2021年にリリースされました。
リリース後も検査に限らずさまざまなシーンでの活用に応えるため、外付けウェアラブルカメラによるハンズフリー等のオプション追加をはじめ、利用者視点に寄り添った妥協のない改良を重ねつつ、低価格帯で高精細な遠隔臨場を実現しており、現在でもロングヒットを続けております。
STORY 02
鉄筋コンクリート構造物の鉄筋組立時には、鉄筋の本数、径、間隔などが設計図通りか確認することを目的に、配筋検査が行われます。現在、多くの場合で測定箇所毎に対象の鉄筋へマーキングのうえ、検尺ロッドを使用した直接計測・確認および写真撮影が実施されており、事前準備や計測、測定結果の入力作業に多くの人員と時間が割かれていました。
2021年度からデジタルツールを使用した配筋検査の試行も進められる中、村本建設株式会社との共同開発により現場ニーズの収集を行いました。
作業時間短縮においてはiPad Pro1台で計測作業が完結し、かつ広い範囲での計測を1度にできることが重要との認識に立ち、実証実験期間を経て、2023年春に配筋検査ARシステム「BAIAS(バイアス)」をアプリケーションサービスとしてリリースしました。
アプリケーションである強みを生かし、ユーザーからいただいた意見を踏まえ、日々アップデートを行っております。「BAIAS」はこれからもユーザーの作業効率の大幅な改善を目指し、進化を続けていきます。
STORY 03
建設業界が直面する課題の一つに、労働人口の減少や気候変動による熱中症対策が挙げられます。そのような背景の中、当社は取引先である株式会社大林組と現場作業員の体調管理ソリューション「GenVital(ゲンバイタル)」を共同開発しました。
「GenVital」は、リストバンドで収集された心拍数と位置情報、計測器で収集された暑さ指数を基に、独自のアルゴリズムで計算された指標が閾値を超えた場合に管理者に注意喚起メールを送信し、現場作業員の健康状態を管理するシステムです。
2024年5月から、大林組が施工する約60現場(約100地点)の建設現場で約3,000人の作業員を対象に「GenVital」の運用が開始されました。シーズン終了後の分析では、従来の対策に比べて熱中症の被害を0.1%の発症※に抑えられたことが確認されました。
この革新的な取り組みにより、建設現場の安全性と生産性が大幅に向上し、現場からは前向きなフィードバックが多数寄せられました。
「GenVital」はこれからも大林組からの協力を得ながら製品の改良を続け、一般提供に向けた準備を進めています。今後も当社は、技術革新を通じて建設業界の課題解決に貢献し続けていく予定です。
※2024年10月1日時点の調査により3,000人中3名の発症との報告
STORY 04
近年、労働力不足が深刻化する中、作業効率を向上させる技術としてAI技術の導入が加速しており、AIカメラは建設現場のオートメーション化に貢献する技術として注目されております。
当社では早期からAIの有効性に着目し、目視による状況認識や異常検知をエッジAIカメラにより代行するシステムの開発に着手しました。2019年から建設現場での活用を進めてナレッジを蓄積し、2023年に生産性向上AIカメラ「PROLICA(プロリカ)」をリリースしました。
「PROLICA」は、エッジAIによる画像解析機能を搭載しており、教師データを用いて認識対象を学習することで、最適化された機械学習モデルを構築します。「稼働中の重機」「特定色のヘルメット」など、ある特徴を持つ対象に限定して、識別を行うことが可能です。
また夜間での車両検出ではサーマルカメラを使用するなど、利用環境に応じて画像解析用カメラを選択できます。これらの特長により「PROLICA」の活用の幅は年々広がりを見せており、これまで培った現場導入実績をベースにお客様のAI導入をサポートし、建設現場の省人化や生産性向上を強力に後押しし続けます。